歌を詠う

意味を考えることは楽しい

【ポルト・パラディ―ゾ】

タイトル:ポルト・パラディーゾ

作詞:GARDNER CAROLYN DAWN

作曲:WILKINSON STEVE

出版:WALT DISNEY MUSIC COMPANY

music.apple.com

www.disney.co.jp

 

東京ディズニーシーは開園当初から現在まで、世界中の海をテーマにした7つのテーマポートと呼ばれるエリアから構成されています。そしてこの度、2022年度に8つめのテーマポートが加わることが決定しています。(2023年度以降に変更されています。)これについての議論は今回はしません。

 

現在存在する7つのテーマポートそれぞれには、開園当初に作曲されたと思われるテーマソングが存在します。これからしばらくはこのテーマソングを一つずつ詠み解いていこうと思っています。そして初回である今回は、20世紀初頭の南ヨーロッパの港町「メディテレーニアン・ハーバー」のテーマソング、「ポルト・パラディーゾ」についてです。「メディテレーニアン・ハーバー」は直訳すると「地中湾」であり、まさに南ヨーロッパは地中海に面した地域です。ここはケッペンの気候区分では地中海性気候に区分され、夏は雨が少なく乾燥した気候になります。日本は温暖湿潤気候に分類され、世界中の気候と比べると一年を通して温暖で、湿度が高い地域とされます。従って、メディテレーニアン・ハーバーが日本とは異なり、特に夏はカラッとした暑さの地域であることを知っておくのも面白いかもしれません。

また、この気候区の特徴として、柑橘系の作物や、オリーブ、ブドウなどの栽培が盛んなことが挙げられます。このため、メディテレーニアン・ハーバーの一角ではオリーブやブドウが栽培されています。この地域一帯の地主であるザンビーニブラザーズは、これらの作物からオリーブオイルやワインを製造し、この港町から世界中に輸出しています。

東京ディズニーシーでの位置づけとして、ここメディテレーニアン・ハーバーは、入園したゲストが最初に訪れるテーマポートであり、ここを経由しなくては他のテーマポートに足を踏み入れることが出来ません。アメリカ大陸を発見したコロンブスなどの出身地がまさに南ヨーロッパのイタリアであることを考えれば、ここから他のテーマポートにつながっていることの意味が分かるのではないでしょうか。また、メディテレーニアン・ハーバーはさらに3つのエリアに細分化することが出来ます。一つ目は、水の都「ヴェネチア」をモチーフにした「パラッツォ・カナル」、二つ目は冒険家・探検家学会の活動拠点である、大航海時代の要塞の姿をした「エクスプローラーズ・ランディング」、最後三つ目が「ポルト・パラディーゾ」です。曲のタイトルはまさにこの3つ目のエリアの名前なのです。

 

さあ、これらを踏まえて、さっそく歌詞を詠んでいきましょう!

 

歌詞:

To sail into a port of awesome wonders
On a breeze that sets your heart and spirit free
To hear the song that float's from Porto Paradiso
You can feel the magic glisten
As you close your eyes and listen to the sea

The waves of wild enchantment break around you
On the shore that called from far across the sea
And all you ever need is your imagination
It's a dream you want to christen
As you close your eyes and listen to the sea

A renaissance of beauty will enchant you
Bewitched with grace and charming history
The waves of wonder gently swirl around you
And wash away your troubles instantly

Listen to the sea, listen to the sea
It's calling your to paradise
Spectacolo che bello
Porto Paradiso is awaiting you and me

Just close your eyes and listen
Listen to the sea

New pleasures and discoveries astound you
The sky ignites at night above the bay
A symphony of sight and sound surrounds you
And gondaleers will sing you on your way

Listen to the sea, listen to the sea
A grand neptunal paradise
Bellissima,Magnifico
Porto Paradiso is awaiting you and me

Just close your eyes and listen
Porto Paradiso
Porto Paradiso
Just listen to the sea

 

日本語訳(自作):

 

素晴らしい不思議の港に向けて航行する

あなたの心や魂を自由にする波風に乗って

「パラダイスの港」から漂ってくる歌を聴くために

あなたは魔法が輝くのを感じることが出来る

目を閉じて、海に耳を傾けると

 

あなたを取り巻く環境を破壊する野生の魅惑の波

遠い海より訪ねてきた海岸上で

そしてあなたに必要なものの全ては想像力である

それはあなたが洗礼することを望む夢

目を閉じて、海に耳を傾けると

 

美のルネサンスがあなたを魅了するだろう

優雅で魅力的な歴史にうっとりする

不思議な波が優しくあなたを渦巻く

そして即座にあなたの問題を洗いさらう

 

海に耳を傾けよ 海に耳を傾けよ

それがあなたをパラダイスに誘っている

ショー!(なんと素晴らしい)

そして「パラダイスの港」は君と僕とを待っている

ただ目を閉じて海に耳を傾けよ

海に耳を傾けよ

 

新しい宝物や発見が君を驚かせる

夜、湾の上で空が発火する

そして君の周りの視覚と音の交響曲

そしてゴンドリエはあなたの道に沿って歌う

 

海に耳を傾けよ 海に耳を傾けよ

偉大な海のパラダイス

美しい(壮大!)

 

「パラダイスの港」は君と僕とを待っている

ただ目を閉じて海に耳を傾けよ

「パラダイスの港」

「パラダイスの港」

ただ海に耳を傾けよ

 

今回は今まで以上に直訳に徹しました。上では元々の歌詞が持つニュアンスが死なないように配慮した”つもり”です。

 

解釈:

 

「Port of awesome wonders」=「ポルト・パラディーゾ」であろうが、ここに「Wonder」が持つ「?」のニュアンスと「awesome」の「すごい」ニュアンスを伝えたいのだろう。

航海は具体的なものではなく、心や魂といった形而上の概念を波風に乗せている。

「パラダイスの港」=「ポルト・パラディーゾ」では楽しさの象徴として音楽的な存在があると考えられます。(cf.ポルトパラディーゾ・ウォーター・カーニバル)

目を閉じて、耳を海に傾ける行為は視覚と聴覚を筆頭に、五感の先入観を排除し、こちらの世界観に没入させることを促し、その結果として魔法のようなものを感じられるといった事でしょう。

加えて、波が自然の力であり、これがその他現実世界からの既成概念をぶっ壊してくれるといったところでしょう。その舞台は「shore」=「海岸」となっていますがこれは海と陸地との境界、現実とこのディズニーの世界との境界ととらえることにします。

ここまで「先入観、既成概念NO!」と言われてきたわけですが、一つだけ持ってきてくださいというのが「Imagination」=「想像力」だそうです。ただしこれも丸々現実世界のものではなくて、先ほどと同様に五感は全く新しいものにして、そのもとで作りあげられたある種夢のようなものだと言っているのでしょう。

 

筆者は歴史には疎いのでよくわかりませんが、おそらくルネサンスは芸術的にも優れた時代だったのではないでしょうか。ルネサンス時代の歴史に触れ、うっとり。不思議な波(これは海の力の一つと捉えましょう)が綺麗な純粋な心にしてくれると言っているのでしょうか。

このあたりで登場する「Listen to the sea」はこれまでのそれとは命令意図が少し異なるように感じます。というのもこれまでは「五感を海に委ねよ」というニュアンスを感じたのに対し、これ以降では「海からのメッセージを読み取れ」に変化していると思うからです。証拠にここでは海が私たちをパラダイスに誘っているわけです。

そして、ただ「海に耳を傾け」ていれば良いと。(想像力はいるって?)

 

「新しい宝物や発見」からは「エクスプローラーズ・ランディング」が、「ゴンドリエが歌う」からは「パラッツォ・カナル」が想起できますね。間の2行は抽象的なのでここでは省かせていただきます。

 

以下、海がすごいことと、海に耳を傾けて欲しいことを訴えています。

 

 

雑談:

今回から、解釈の中で考察を行うことと致しました。ソースを吸い上げる能力が未熟なのでエビデンスがほぼ皆無な妄想話になってしまっていますが、読み物としてなら楽しいのではないかなと思います。また、これも今回からの取り組みですが、歌詞を引用する前のところで関連するBGS(バック・グラウンド・ストーリー)という所謂設定を私が理解している通りに記述することにしました。というのも私はBGSオタクであることも公言しているのでこれに関連することもやろうと思ったからです。

 

それでは、今回も最後までお読みいただきありがとうございました!